概要
古典落語の演目。
元は上方落語だが江戸落語でも演じられる。
原話は安永2年(1773年)に出版された『聞上手』の「凧」。
題の「初天神」とは、天神様(菅原道真)を祀る天満宮に、正月の25日に参詣すること、
あるいはその日に行われる縁日を指す。
道真が25日に生まれ、25日に没したことから、同日を吉日としている。
(
Wikipediaより抜粋)

初天神
初天神の朝、寒さはまだ厳しいながらも、空は晴れ渡り、気持ちの良い日でございます。
男は羽織を着て、天神様へ初詣に行こうとしておりました。
すると、女房が声をかけます。
「お前さん、せっかくだから金坊も連れて行ってやっておくれ。」
「いやだよ。
あいつはすぐにあれ買え、これ買えとせがむ。
見っともないったらありゃしない。」
男はそっぽを向いて拒みますが、そこへちょうど金坊が帰ってきました。
「お父っつぁん、今日は何も買ってくれって言わないから、連れてってくれよ。」
「絶対に何もねだらないか?」
「うん、約束する!」
「嘘をついたら、川へ放り込むぞ。
あそこには河童がいて、ガリガリかじられるんだからな。」
「へぇ、お父っつぁん、そんなこと信じてるの?
河童なんかいるわけないじゃないか!」
金坊は男をからかうように笑います。
「ならば、伊勢屋の蔵に放り込んでしまうぞ!」
「そんなことしたら、質屋に入れる物もなくなって、
ついに子どもまで質に入れたって言われるよ。
利上げして流すのだけはやめておくれよ!」
とうとう女房と金坊の大合唱が始まり、男はしぶしぶ金坊を連れて天神様へ向かうことにしました。
天神様へと向かう道には、次第に店が増えてきます。
金坊はふと水菓子屋の前で立ち止まりました。
「お父っつぁん、りんご買って!」
「だめだ。
りんごは毒だ。
あんなもの食べたら、腹が痛くなるぞ。」
男はそう言って通り過ぎますが、金坊は納得がいかない様子です。
「じゃあ、飴は?
ほら、いろんな色のがあるよ!」
男はしぶしぶ一つ買ってやり、こう言い聞かせます。
「虫歯になるから歯を当てるなよ。
なめるんだぞ。」
「お父っつぁん、本当はアメ玉を噛むと早くなくなるから、そう言ってるんでしょ?」
金坊はすっかりお見通しです。
飴を舐めながら歩いていた金坊は、水たまりに気づかずに踏み込みました。
男は頭を軽く叩きます。
「おい、足元をよく見ろ。」
「うえーん!
アメ玉を落としちゃった!」
「どこだ?
水で洗えば平気だ。」
「お腹の中に落としたんだ!」
泣きじゃくる金坊をなだめながら、次に団子屋へ向かいます。
「お父っつぁん、だんご買って!」
「しようがねぇな。
あんこの団子でいいか?」
「いやだ!
蜜のがいい!」
仕方なく蜜の団子を買いましたが、男はその蜜をなめてから金坊に渡します。
「蜜がついてないのはいやだ!」
またもや大声を出す金坊に、男は団子屋に文句をつけるふりをして、
隙を見て団子を蜜壺にドボンとつけます。
「おう、これで文句ねぇだろう。」
金坊は蜜をなめながら、男の真似をして団子屋に話しかけ、
また団子を蜜壺にドボンとつけました。
次は凧屋の前です。
「お父っつぁん、凧買って!」
「よし、買ってやる!」
ここにきて、今度は男のほうが夢中になり、
金坊そっちのけで凧上げに熱中し始めました。
「お父っつぁん、もう帰ろうよ……。」
「なんだ、せっかく上がったのに。
もうちょっと待ってろ!」
「こんなことなら、お父っつぁん、連れてくるんじゃなかった!」
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